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DXからAXへ。アルダグラムが全社で「業務を止めて」AIハッカソンを連発した舞台裏

AIネイティブな組織は、どうやって作るのか。「SaaS is dead」が囁かれる時代に、特に注目されているテーマではないでしょうか。
2026年4月、アルダグラムで初めて社内でAIハッカソンを行いました。最初はエンジニアやデザイナー向けでしたが、「ビジネス職にもやってもらいたい!」という声が上がり、5月にはビジネス・コーポレートのメンバー向けに、2回開催しました。
なぜ2段階にしたのか、そこで何が起きたのか。本記事では、2つのイベントの設計と当日の様子、そして他社でも再現できる進め方の詳細をまとめていきます。


業務を3日止めてまでなぜAI浸透に力を注ぐのか

世の中のSaaSは、いまDXからAX(AI Transformation)へと変化しつつあります。「業務をデジタルに置き換える」段階から、「業務の中にAIが入って動く」段階へ。建設・製造・物流といった現場向けに『KANNA』というSaaSを展開している私たちにとっても、AIネイティブな組織になれるかどうかは事業の存続に関わる話です。「社員全員がAIを使いこなす組織にしたい」これが、今回のハッカソン2連発の始まりでした。

きっかけはシンプルでした。開発部のメンバーから「AIに本気で取り組む時間を作りませんか」という声が上がったのです。「KANNAもAIを組み込んだ開発をすることは決まっているけど、社内にノウハウがない」「まずは挑戦する時間を取ってみては」というところから話が進み、エンジニア・デザイナーを含む開発部のAIハッカソンが実施されることになりました。
進めるなかで見えてきたのが、ビジネス職側の課題でした。AIの活用度合いはメンバーによってかなりばらつきがあり、使い倒している人と、たまに使う程度の人とで差が大きい。社内のAI活用を一段引き上げるには、全員にハンズオンで触る機会をつくる意味があるのではないか。そんな話が自然に出てきて、ビジネス・コーポレート職向けの第2回も開催することになりました。

結果として、社員の通常業務は計3日停止し、Claude APIへの月額課金は前月比で約1.6倍に増えました。
※ちなみに「業務を止めて」とは、開発部・ビジネス職がハッカソンに集中する時間を設けたということで、サポートや保守運用は通常通り動いています。
決して小さくない投資ですが、得られたものはこのコストを十分上回っていたと感じています。

【第1回:開発部編】想定外の壁は「技術」ではなく「テーマ決め」だった

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第1回開催概要

あえて「ゴールデンウィーク直前の月末」に開催

開催日程は、実は少し計算して決めていました。ゴールデンウィーク直前の4月末に設定したのには理由があって、

「連休前の月末は休暇を取得する人が増える時期でもあり、通常の開発計画を立てにくいことがある。そこで、思い切ってハッカソンに充て、休暇前に集中して取り組もう」

という発想です。
なんとこの読みが見事に当たり、既存プロダクトの開発進捗に大きな影響を出すことなく、メンバー全員がハッカソンに没頭できました。

想定外に苦戦したのは「テーマ決め」

技術面より先に困ったのがテーマ決めでした。「何を作ったらいいか分からない」という声が思った以上に多く、運営側がサポートに入る場面もありました。
このハッカソンでは、当初からビジネス職へのテーマ募集も並行して進めていました。普段顧客と接しているビジネス職側に「現場で困っていること」を投げてもらい、エンジニア・デザイナーが「これは作ってみたい」と思うものに飛び込めるようにする狙いです。

ビジネスサイドから上がってきたテーマに取り組む参加者は、起案者のところに直接話を聞きに行く動きもしていました。どんな場面で困るのか、どこまで解決できれば十分なのか、絶対に外せない要件は何か。そうして課題の解像度を上げてから、開発を進めていきます。
ハッカソンの本題は開発ですが、この「ビジネスサイドに聞きに行く」動き自体が、2つの部門の距離を縮めるきっかけにもなっていきました。

【第2回:ビジネス職編】非エンジニア向けAI浸透の全手順

ここからは、5月19日に実施した非エンジニア向けハッカソンの運営ノウハウを、できるだけ具体的にお伝えします。

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第2回開催概要

①事前準備

【3週間前】全社告知
全社SlackでAIハッカソンの開催を告知し、スケジュールを確保していただくようアナウンスしました。

【1週間前】アイデア帳の公開
3テーマに沿ったアイデア帳をNotionで公開し、70件超のアイデアを事前に集約しました。同時に、当日サポートに入るエンジニアには、出ているお題を事前に共有し、必要なAPIを洗い出してもらいました。これがあるかないかで当日の対応速度がまったく変わるので、地味に重要なポイントです。

【前日まで】チーム編成・KANNAデザインキット準備
1人だと心細い方もいるので、「似たアイデア同士でチームを組んでもいいですよ」と声かけして、チーム開発もできるようにしました。
並行して、デザイナーに依頼して「KANNAデザインキット」を用意しました。Claudeに事前に用意したzipファイルを入れるだけでUIが当社プロダクトのKANNAらしくなるキットです。
非エンジニアでもUIの品質を一定水準に揃えやすいように配慮しました。

②当日の運営

【当日朝】Claude Code セットアップ
午前中はまず、Claude Codeのインストールから初期設定までを揃って進めました。ターミナルでコマンドを入力しながら進めます。非エンジニアの方には慣れない作業もありますが、エンジニアがそばでサポートし、一つひとつ進められる形にしました。
このタイミングで、セキュリティ周りのNGリストも共有しています。

  • APIキー・ID・パスワード・トークン・顧客情報・個人情報など、シークレット情報をClaudeに読ませない

  • プログラムを書くときは、シークレット情報をハードコードしない

  • Anthropic公式以外のMCPは個人判断で利用しない(サポートメンバーに相談)

  • Skillsも、Anthropic公式・会社・チーム・個人で作成したもの以外は個人判断で利用しない

【日中】開発時間を最大化する設計
とにかく「作る時間」を最大化したかったので、説明や発表の時間はできるだけ短くしています。発表スライド作成用のプロンプトも配布して、資料作りもAIに任せられるようにしました。サポートはエンジニアが交代制で常駐し、質問はSlackでも直接でも受け付ける体制にしました。

【日中の出来事】
当日、運営側が対応に追われた場面もちょこちょこありました。Claude APIの利用制限に達することは想定内だったため、その都度プランの引き上げで対応。HubSpotなどAPIキーの発行に管理者権限が必要なシステムについても、都度確認しながら進めていきました。
参加者からは質問のレベルも高く、APIキー発行時の権限設計など、運用まで見据えた問いが出る場面もありました。

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普段はChatを使うだけだったメンバーも、今回はじめてClaude CodeやGAS(Google Apps Script)を駆使して本格的な仕組み作りに挑戦していました。「今回の機会がなければ一生触ることはなかった」という声が上がるような、新しいチャレンジの姿も見られました。
ただ指示を出すだけでなく、「質問の仕方ひとつでAIの挙動やアシストの方向が変わる」という開発の難しさや面白さに、身をもって気づく時間にもなっていました。

【懇親会】

18時になると開発を切り上げ、そのまま懇親会へ。
参加者の多くにとって「ハッカソン」自体が初体験でしたが、終わってみれば「こんなに楽しいとは思わなかった」という声が続出していました。ピザを追加注文するほどの盛り上がりました。

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ハッカソンから生まれた、業務効率化とプロダクト進化の2事例

業務効率化からプロダクトへの新機能まで、本当にいろんな開発がありましたが、ここでは2つに絞ってご紹介します。

KANNAのブランドデザインを資料に自動適用するスキル

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資料にKANNAのブランドデザインが自動適用されるスキルです。Notion・Redash・スプレッドシートなどのデータソースから、Claudeで一気にプレゼン可能なクオリティの資料を生成できます。
営業やCSの業務から「資料の構成を考える」「見た目を整える」といった工程が無くなり、資料作成にかかるリソースを大幅に削減できます。実際、ハッカソン後も日々社内で使い続けられているプロダクトのひとつです。

現場の負担をゼロにする「写真台帳のコメント自動生成」

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KANNAのコア機能のひとつに、工事現場などで撮影した写真を案件ごとに整理する「写真台帳」があります。これまでは、現場の職人さんや監督さんが、1枚1枚スマホで撮った写真に対して手動でコメントを打ち込んでいました。
今回開発されたのは、AIが大量のデータから適した写真を選定し、その場の状況に合ったコメントを自動で生成してくれる機能です。
1日に何十枚、何百枚と写真を撮る現場のユーザーにとって、この選定・入力の手間がなくなるのはとても大きな時間短縮になります。日々ユーザーと向き合っているからこそ分かる「顧客の本当の痛み」を、AI開発で解決に導いた事例でした。
※なお、この機能はまだ社内検証段階のもので、KANNAの製品機能としての提供は現時点では未定です。

2回のハッカソンで見えた「収穫」と「課題」

段階的展開のメリット

開発部、次にビジネス職という順で開催したことは、両者にとってWin-Winの結果となりました。

  • 開発部側:自分たちの取り組みがビジネス職を巻き込む形で発展した実感が持てた

  • ビジネス職側:開発部の成果を先に見たことで、心理的なハードルが下がった状態でスタートできた。当日のサポートも、第1回の経験者である開発メンバーが入ってくれたことで安心感があった

開発部とビジネス側の距離が縮まった

今回の収穫として大きかったのが、開発部とビジネス側の距離感が縮まったことです。
第1回ではエンジニアがビジネスサイドの起案者に話を聞きに行き、第2回では開発メンバーがビジネス職のサポートに入る。普段はSlackや会議で接点があっても、隣で同じものを作る経験は多くありません。ハッカソンを境に、「まずはあの人に相談してみよう」と思える関係が確実に増えています。

「とりあえず試してみよう」の空気

エンジニアに「ハッカソンを終えて、開発部内で何か変化はありましたか?」と聞いたとき、こんな答えがありました。

「とりあえず試してみよう、という空気が以前より強くなった気はします。ロードマップにない顧客要望が出てきたとき、まず作ってみる、よかったらリリース、みたいな動きが出てきています。」

ハッカソンとの因果関係を断定するのは難しいですが、こういう動きがハッカソンの後に出てきているのは確かなので、いい流れだなと思っています。

一方で、課題もあります

ここまで良い面を中心に書いてきましたが、反省点もあります。
今回いちばんの反省は「やりっぱなし問題」でした。開発したものが実際の業務に組み込まれているケースもある一方で、「ハッカソンは楽しかった」で終わってしまい、次のアクションにつながっていないものも正直あります。ハッカソン後の振り返りも、十分にはできていませんでした。
これからハッカソンを企画する方は、「終わった後をどう設計するか」もぜひ一緒に考えておくといいと思います。

自分の業務を、自分の手で変えていく組織へ

アルダグラムの「AIネイティブへの挑戦」は、まだまだ続きます。
すでに次回のハッカソン構想が動き出していて、今後は営業とエンジニアが最初からペアを組む形にして、より実運用に直結するプロダクトを生み出す仕掛けにしていきたいと考えています。
「AIをただ使うだけでなく、組織やプロダクトの未来を自分の手で変えていきたい」
そう少しでも感じた方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!

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