菊田一夫演劇賞授賞式、欠席の井上芳雄が栗山民也に愛あるメッセージ「言葉通りになりましたね」

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第51回菊田一夫演劇賞の授賞式が、本日6月10日に東京都内で行われた。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より。左から岡田敬二、上白石萌音、石川禅、栗山民也、佐藤隆紀、松尾スズキ。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より。左から岡田敬二、上白石萌音、石川禅、栗山民也、佐藤隆紀、松尾スズキ。

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菊田一夫演劇賞は、劇作家・菊田一夫の業績を伝えると共に、大衆演劇の舞台で優れた業績を示した芸術家を表彰する賞。今回は、菊田一夫演劇大賞を「大地の子」の上演関係者一同が受賞した。また、菊田一夫演劇賞を石川禅佐藤隆紀上白石萌音松尾スズキが獲得し、菊田一夫演劇賞特別賞には岡田敬二が選ばれた。授賞式には受賞者や関係者が登壇し、それぞれ喜びを語った。

「大地の子」栗山民也が井上芳雄のメッセージ代読、奈緒&上白石萌歌も登壇

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、栗山民也。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、栗山民也。 [高画質で見る]

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より。左から上白石萌歌、栗山民也、奈緒。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より。左から上白石萌歌、栗山民也、奈緒。 [高画質で見る]

「大地の子」のカンパニーを代表して正賞の盾を受け取ったのは、演出を手がけた栗山民也。「上演関係者一同で受賞したと聞いて、とてもうれしかったです。当たり前のことですが、演劇に携わっている私たちは1人では何もできません。原作が決まってから初日の幕が開くまで2年半ほど、原作者・山崎豊子さんの『歴史的事実はそのまま描く、私の血で』という強い言葉に本当に支えられました」と述べ、「亡くなった方々の魂を救うのは、今を生きている私たちの責任と意志だと思います。見ようとしない人には何も見えない、聞こうとしない人間には何も聞こえない。今地球で起きていることに私たちは目を閉ざしてはいけないと思います。関係者一同、そして劇場に集った観客との、そのときだけの時間、それが演劇の時間です。この作品は、劇場という1つの体内で生まれた、本当に大切な作品です」と言葉に力を込めた。

続けて栗山は「実は、(昨年11月に行われた)『大地の子』の製作発表会見のときに私が欠席しまして、そのとき、井上芳雄が僕のメッセージを読んでくれました。今日は芳雄が札幌公演中で出席できません。そこで代わりと言ってはなんですが、私が代読いたします(笑)」と言い、主人公の陸一心役を演じた井上のメッセージを読み上げた。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より。井上芳雄のメッセージを代読する栗山民也。

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井上はメッセージで「この作品が素晴らしい評価をいただけたこと、何よりの喜びです。それに上演関係者一同での受賞ということで喜びもひとしおです。ある日の終演後に栗山さんが『今年の一番(の作品)が出たな』とおっしゃったんですが、その言葉通りになりましたね、栗山さん」とつづっており、ここで栗山が「ええ?」と自らツッコミを挟んで会場を笑わせるひと幕も。さらに「栗山さんが今どんな表情なのか見られないのが残念です(笑)。演劇はどんな時代の物語でも今とつながっている、と栗山さんに言われたことが忘れられません。『大地の子』の上演もまさにそうだったと思います。残念ながら、遠い昔の悲劇ではなく、この先の未来で二度と同じ過ちを繰り返してはいけないという切実な思いを抱いた公演でした。それは私たちスタッフ・キャストだけでなく、劇場に集った多くの人々も同じだったと思います。自分の人生を自分で描くこともできず、声もあげることができなかった人々の声をすくい上げるのが演劇の大切な役目だと信じています」と結んだ。

さらにその後、栗山が呼び込む形で、「大地の子」出演者の奈緒上白石萌歌が登壇。2人は栗山にあいさつしながら、和やかな空気の中でそれぞれスピーチを行った。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より。左から栗山民也、奈緒、上白石萌歌。

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第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、奈緒。

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奈緒は「昔は大きな紙で見ていたであろう世界地図は、今や小さなスマートフォンで見られるようになって。でも『大地の子』に出演したあとに地図を見ると、そこには知り得ない1人ひとりの人生があると気付かされました。その1人ひとりの人生を伝えることができる“装置”が演劇であるということも深く知ることができ、感謝しております。『大地の子』のメンバーを心から愛しています。またこのような素晴らしい演劇に携われる俳優、人間になれるよう精進してまいります」と話した。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、上白石萌歌。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、上白石萌歌。 [高画質で見る]

また上白石萌歌は「物語の中で大地を踏み締めていたときの血のたぎるような時間と、栗山さんの言葉を今でも大切に心に閉まっています。この作品のテーマは怒りや反骨などさまざまありますが、一番は人と人との心の話だなと思いながら舞台に立っていました。戦後80年の今改めて、大切な人と目を見て話せることや、自分の命が巡り巡ってここにあることのとんでもなさをかみ締める日々でした。役者である自分にできることは、想像し続けること。実際に体験したものでなくても、学び、想像し、それを渡していくのが役者の使命だと思いました。これからも、演劇という、泥臭くてとても美しい営みに憧れながら、お芝居に参加していきたいと思います」と真摯に語った。

石川禅が過去に言われた「役者は天命」死ぬまでがんばる

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、石川禅。

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「ダンス オブ ヴァンパイア」のアブロンシウス教授役など4つの役の演技で評価された石川は、マイクの前に立って客席を見つめると、「うわあ……」と感慨深げに目を細めてこう切り出した。「私の前世は奈良時代の伐木作業員で、山奥で木と語らいながら一生を過ごし、人との交流はほとんどしなかったそうです。これは青年座の新人時代に千里眼を持っている方に聞いた話です。その方が言うには、現世の私はたくさんの人と出会って交流しなければできないことをやることになっていて、それがまさに役者という仕事だと。役者が天命だから死ぬまでがんばりなさい、でも大きな賞をいただくとかスターになるとかは考えるな、しんどい人生になるから、と言われて信じてきました」と不思議なエピソードを披露。「なので今回、受賞の報をいただいたときは動揺した」と本音を漏らしつつ、「もうすぐ62歳。これから先、何冊の台本と出会い、いくつの歌を歌えるのかわかりませんが、天命をまっとうしたいと思います」と、すがすがしい表情で前を見据えた。

佐藤隆紀、ラーメン屋の息子が感謝を込めた“美声”で会場沸かせる

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、佐藤隆紀。

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「皆様こんにちは、ミュージカル界のシュガーくんこと佐藤隆紀です」と自身の愛称を交えたあいさつで登壇した佐藤は、「ジキル&ハイド」のヘンリー・ジキル / エドワード・ハイド役、「エリザベート」のフランツ・ヨーゼフ役の演技により受賞した。佐藤は「初舞台を踏んだのと同じ2015年に『エリザベート』に初めて出演させていただきましたが、『歌は歌えるけど、芝居がね……』とSNSでたくさん書かれ、自分でもひどい芝居をしていたと思います(笑)。11年間、小池修一郎先生をはじめとするカンパニーの皆様が温かく育ててくださったことに感謝しています。また、いつか演じてみたいと思っていた『ジキル&ハイド』の公演中に受賞の報告を受けましたが、先生方が目を赤くして自分のことのように喜んでくださったのがうれしかったです」と感謝を述べた。また佐藤は「私は福島県喜多方市出身、ラーメン屋の息子でございますので、スピーチを素敵に締める言葉は持ち合わせておりません。エンタテインメントを愛した菊田先生の思いを胸に、感謝を歌で届けます。本日は誠に……“ありがとうございましたー!”」と、力強い美声を響かせて会場を沸かせた。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より。スピーチの締めに、美声で感謝を届ける佐藤隆紀。

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上白石萌音の演劇愛「憧れを大切に持ち続けたい」

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、上白石萌音。

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、上白石萌音。 [高画質で見る]

「ダディ・ロング・レッグズ」のジルーシャ・アボット役、「千と千尋の神隠し」の千尋役の演技が評価された上白石萌音は、「幼いことから演劇が大好きで、演劇に携わりたくてこの世界に足を踏み入れました。『ダディ・ロング・レッグズ』のジルーシャはまさに憧れの役で、高校生のときから上演のたびに劇場を訪れ、DVDを“擦り切れる”ほど観てきました。なのでオリジナルキャストの井上芳雄さんと坂本真綾さんの一番近くで学べたことは、なかなかに震える体験でした。また『千と千尋の神隠し』は海外公演にも参加させていただきましたが、現地スタッフの方々に影響を受けることも多々あり、貴重な経験をさせていただいています」と語る。続けて「両作とも演出はジョン・ケアードさんですが、ジョンはいつも『演劇は英語で“play(遊ぶ)”なので、板の上ではいつもリラックスしてワクワクしていなさい』と言います。私も幼い頃に抱いた演劇への憧れをそのまま大切に持ち、精進して参りたいと思います」と決意を口にした。

松尾スズキ「これまではふざけすぎた」無茶ぶりに応じた咲妃みゆ・昆夏美・笠松はるは客席から生歌唱

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、松尾スズキ。

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松尾は、マイクの前に立つなり「うれしいです……」としみじみと喜びをかみ締め、「由緒正しい場所に相応しくない、ふざけた名前で申し訳ないです。これまで賞に縁がありませんでしたが今回の受賞で、ふざけないでやれば賞を獲れるんだな、これまでふざけすぎて生きてきたんだなと(実感しました)」とユーモアを飛ばす。さらに自身のキャリアに触れ、「小劇場出身で、38歳くらいから商業演劇にも手を伸ばし始めましたが、なんとか小劇場感覚で商業演劇をねじ伏せてやろうという気持ちでいて、まあ評価はバラバラでした。今回の『クワイエットルームにようこそ The Musical』ではエンタテインメントにかじを切り──1万2000円のチケット代でふざけられないですから──ほとんどのキャストやスタッフをミュージカル畑の方にお願いしたところ……獲れました(笑)。このメンバーで受賞できたのがうれしいですね」と喜びを語った。

ここで松尾は、同作の出演者である咲妃みゆ昆夏美笠松はるが客席で一緒に座っているのを見つけ、その場で劇中歌を歌うよう無茶ぶり。3人は驚きつつもそれに応え、エンタテインメント愛にあふれた歌詞の楽曲「ニコチンパラダイス」を生歌唱し、授賞式を大いに盛り上げた。

岡田敬二、レビュー界の後輩たちに拓いた新しい道

第51回菊田一夫演劇賞の授賞式より、岡田敬二。

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最後に登壇したのは、宝塚歌劇団の演出家として「ロマンチック・レビュー」シリーズの功績を称えられ、特別賞を受賞した岡田。「宝塚に入団した1963年の6月、菊田先生の『霧深きエルベのほとり』という作品で見習い助手につかせていただきましたが、入って2カ月なので何もできませんでした(笑)。その5年後、憧れの東京宝塚劇場で『青春のプレリュード』を上演したところ、とても新鮮な作品だと菊田先生が褒めてくださったと聞いています」と思い出を語る。「日本のオリジナルレビューを作りたいという思いで始めた『ロマンチック・レビュー』では、これまで23本作ってきました。レビュー作家というものはミュージカルの演出家よりも評価しにくいもののようで、14年間一緒に仕事していた『エリザベート』の演出家(小池修一郎)には『賞を獲るならドラマをやらないと』と冗談交じりに言われました(笑)。私には縁がない賞だと思っていたので、本当にうれしいです。レビュー界の後輩たちにとっても新しい道が拓けたのではないかなと思います」と審査員に向けて感謝と期待を伝えた。

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第51回菊田一夫演劇賞

菊田一夫演劇大賞

  • 大地の子」上演関係者一同(「大地の子」の高い舞台成果に対して)

菊田一夫演劇賞

  • 石川禅(「ダンス オブ ヴァンパイア」のアブロンシウス教授役、「ジェイミー」のヒューゴ / ロコ・シャネル役、「サムシング・ロッテン!」のノストラダムス役、「レイディ・べス」のロジャー・アスカム役の演技に対して)
  • 佐藤隆紀(「ジキル&ハイド」のヘンリー・ジキル / エドワード・ハイド役、「エリザベート」のフランツ・ヨーゼフ役の演技に対して)
  • 上白石萌音(「ダディ・ロング・レッグズ」のジルーシャ・アボット役、「千と千尋の神隠し」の千尋役の演技に対して)
  • 松尾スズキ(「クワイエットルームにようこそ The Musical」の作と演出、「アンサンブルデイズ―彼らにも名前はある―」の作と音楽の成果に対して)

菊田一夫演劇賞特別賞

  • 岡田敬二(永年の「ロマンチック・レビュー」シリーズの功績に対して)

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ステージナタリー @stage_natalie

菊田一夫演劇賞授賞式が本日開催🏆

「大地の子」栗山民也・井上芳雄・奈緒・上白石萌歌、そして石川禅・佐藤隆紀・上白石萌音・松尾スズキ・岡田敬二が思い思いにコメント

欠席の井上は栗山に愛あるメッセージ「言葉通りになりましたね」

▼授賞式レポート(写真16枚)
https://t.co/BmfM3t0rk5 https://t.co/Fhk9NtCo0z

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